趣旨/concept

芸術は人間のため、人間を高貴ならしめるためのものでなければなりません。
文明は過去からの人間の文化の蓄積でありますが、
過去に引きずられることなく、未来に願いをただ求めることなく、
自分自身でじっくりと考えてみることが必要だと思います。
古いものを尊んではならない。新しいものに魅惑されてはならない。
滅びゆくものを悲しんではならない。牽引するものにとらわれてはならない。
しかし現代日本の美術は、美術のもつ崇高さは崩れ、混迷し、低迷しています。
またいくつかのカテゴリーに画一化し、
プロとアマチュアの差が無い状況となっています。
また一方ではインスタレーションや漫画、写真が現代の美術の主流となり、
普遍的な美術であるのかと疑問を持っています。
私たちは絵画表現の基本として五感、特に視覚を通して物を感じ、
絵を描くという根本に立ち、作品をつくり続けたいと考えています。
絵画はほんの少し前19 世紀半ばまではどこの国でも
石や土など天然素材から絵具をつくり、
膠や油などの溶剤を用い描かれてきましたが、
今や扱いやすい微粒子の化学顔料に取って代わりました。
そして描く行為よりも塗る方向が大多数となりました。
素材の伝統を生かして作品を創ること―アナログでドメスティックであること―
が世界に向けて発進し、
進むべき方向かと考えています。
他人と自分を比較し、優れていると思わない、また劣っているとも思わない、
貪欲から遠ざかり、傲慢にならず、偽ることなく、物惜しみせず、
懸命に作品を創り続ける覚悟です。
その上に立脚し、私たちは次世代へと繋ぐべく、既成の公募展にはない、
少人数で本もののアーチストの輩出を目指した公募グループ展を計画しました。
風はやさしい時、恐ろしい時、さまざまな姿をもっています。
私たちは美術の世界に新しい風を吹かせたい。
そのような気持ちで、Artist Group -風- を結成致しました。