こんにちは、つるりです。
大好きな佐藤愛子さんのエッセイ『こんないき方もある』を久しぶりに読んだのですが、一話目の「みがく」という話を読んだとき、私はふと友人の言葉を思い出しました。彼女は還暦を迎えても若々しく、海外生活の経験があり、娘を二人育て上げ、料理上手で、趣味も楽しむ素敵な女性です。そんな彼女が「夜中に鍋を磨くのが好き」と言っていたのです。
そんな地味な趣味もあったんだ、と言う話ではなく!彼女にとって「鍋を磨くこと」は家事ではないらしく、「無心になって鍋を磨くこと」が本当に好きなんだそう。
そこで、気になって調べてみ他ところ、なんと「鍋を磨くこと」にストレス発散効果があるようです。心理学で言うところのフロー状態に入るそうです。鍋もピカピカになるし一石二鳥のこの方法、徹底解説します!
では、いってみよー!
無心に磨くということ
1. 日常の中の「磨く」という行為
私が好きなものの一つに、「古民家のピカピカに磨かれた床」があります。チリひとつ落ちていない様子で、景色が映るくらい磨かれた木の床に特別な美しさを感じます。木の艶やかな光沢には、人が長い時間をかけて丁寧に手入れをしてきた証が宿っています。
佐藤愛子さんは「かつて女が家族という小さなかこいの中に閉じこもって暮らしていた頃、女はみがくことによってその単調な暮らしにリズムをつけていたと思う」「日常生活の中に行きわたっている家への愛情がそうさせるもの」と書き、一方「今の私たちはもうその単調なくり返しの中に喜びを見つける気長さを失ってしまっている」とも書いています。私なんて、最近、拭き掃除もやってくれるルンバをレンタルしようか考えていたところでしたが、「昔はツヤを出すために糠やオカラを使うことさえも贅沢で、普通は硬く絞った雑巾で丹念に拭くという繰り返しがあっただけ」というような文章に、部屋の床をピカピカに水拭きしたら気持ち良さそうっていう考えが浮かんできました。毎日バタバタと忙しく過ごしていると、つい家事や作業を「終わらせること」だけに目が向きがちですが、あえて「磨く」というシンプルな作業に時間を割くことで、日常が特別なものへと変わる気がします!
2. 「磨く」ことでストレス発散
さて、友人が語った「夜中に鍋を磨く」という話ですが、その「鍋磨き」は日常を丁寧に過ごそうとする意識だけではありませんでした。嫌な事があったり心がざわつくときに、無心に「鍋を磨く」ことで心が整うという、しかも鍋はピカピカになるというおまけつき。
無心に手を動かし、その時間は、何かを考えるでもなく、何かを解決するでもなく、ただ自分と向き合うひとときです。以前書いた、「刺繍にセラピー効果がある」というのと同じ効果があるようです。
針と糸さえもいらず、鍋はピカピカになるならやってみる価値ありですね。詳しくみていきましょう!
鍋磨きとフロー状態:心が整うシンプルなひととき
フロー状態とは?
フロー状態とは、心理学者ミハイ・チクセントミハイが提唱した概念で、集中して取り組む作業に没頭し、時間の経過を忘れるような状態を指します。この状態になると、脳内でエンドルフィンやドーパミンといった幸福感を引き起こす物質が分泌され、心身ともにリラックスした状態が得られると言われています。
フロー状態に入るためには、以下の条件が揃うことがポイントです:
- 明確な目標があること(たとえば「鍋をきれいにする」)
- 適度な挑戦があること(汚れを落とすには少し手間がかかる)
- 即座に結果が得られること(ピカピカになった鍋を見る喜び)
鍋磨きは、これらの条件を自然に満たすため、フロー状態に入りやすい作業といえるのです。
鍋磨きがフロー状態を生む理由
1. 単純作業の心地よさ
鍋磨きは、同じ動作を繰り返すだけのシンプルな作業です。こうした単調な動きは、意識を「今ここ」に向けさせ、日常の雑念を取り払う効果があります。頭の中に渦巻く考えが一つずつ薄れていき、心が軽くなるのを感じるでしょう。
2. 目に見える成果
磨く前と後で、鍋の見た目が明確に変わることもポイントです。少しずつ汚れが取れ、ピカピカになっていく鍋を見ると、達成感や満足感を得られます。この「成果がすぐに分かる」という要素が、没頭する楽しさをさらに高めてくれるのです。
3. 適度な挑戦が心を刺激する
鍋の汚れは、一筋縄ではいかないこともあります。こびりついた汚れや細かい隙間に入り込んだ汚れを落とすのには少し工夫が必要ですが、それがかえって「やりがい」を生み出します。この適度な挑戦がフロー状態への入り口となるのです。
鍋磨きでフロー状態を楽しむコツ
フロー状態に入りやすくするためのちょっとした工夫を取り入れてみましょう。
静かな環境を整える
静けさに包まれると、作業に集中しやすくなります。夜中の鍋磨きが特に効果的なのは、周囲の音が少ないため、自然と心が作業に向きやすくなるからです。
リズムを意識する
手を動かすスピードや力加減を一定に保つと、磨く動きに心地よいリズムが生まれます。このリズムに身を任せることで、さらに没頭感を高められるでしょう。
小さな汚れを一つずつ落とす感覚を楽しむ
全体をきれいにしようと焦るのではなく、汚れを一つずつ丁寧に落としていくプロセスを楽しんでください。その積み重ねが、より深いフロー状態へと導いてくれます。
まとめ
夜中に鍋を磨くという行為は、単なる家事ではなく、心を整えるための貴重なひとときになるという発見!深夜という静けさの中で、シンプルな作業に没頭することで、日中に溜まったストレスや雑念を手放し、心をリセットすることができます。
鍋を磨く過程では、「手を動かすこと」「磨く動きに集中すること」「結果が目に見えること」の3つが揃い、心をリフレッシュする効果をもたらします。また、ピカピカになった鍋を見ることで得られる達成感や満足感は、確実にポジティブなエネルギーを生み出してくれるはず。やっぱり綺麗なものにはパワーがありますよね。
鍋磨きは、目の前の作業に集中し、過去や未来の心配を手放す時間を提供してくれます。これが「フロー状態」の力です。頭の中のモヤモヤが晴れ、終わった後には、ただ鍋がピカピカになっただけでなく、自分自身の心もピカピカに整理されていることに気づくでしょう。
私たちは、つい特別なリラックス方法や非日常の体験を求めがちですが、実は身近な作業が心に安らぎをもたらすことがあります。「夜中に鍋を磨く」ことの他にも、「床を水拭きでピカピカにする」というのもいいと思います。動きを大きくすれば運動にもなりますね。
佐藤愛子さんが書いていた、家中をピカピカに磨き上げていた女性たちも、家への愛情ももちろんあったと思いますが、磨きあげるその過程が、ストレス発散になり楽しかったのかもしれませんね。
私もさっそく床を拭いてみようと思います!
みなさんもぜひ一度、手軽にフロー状態になれる「みがく」を試してみてください!
では、また!
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